北海道新聞は社説で、道が泊発電所に関わる意見交換を後志管内の市町村が加わって行うことに対して、「札幌市の参加は当然だ」と断じている。
 「避難のために札幌方面に向かうかもしれない」「福島では放射性物質が同心円で拡散したのではない」「道都が機能不全になったら影響は全道に広がる」・・・などと述べているが、それでは「札幌市だけで良いのか」ということになる。人口が多いからと札幌市を参加させるべきだとの主張だろうが、それを容認したら後志と隣り合わせの千歳市は、伊達市は、さらに福島の例では数百km離れた静岡県にまで被害が及んでいるのだから「うちの自治体も同じだ」とその要求は全道に広がるかもしれない。それでは「どこで線を引くのか」。道の考えは、国の考えや基準が曖昧な中で、まずはEPZ4町から後志管内20市町村に広げ対応を考えようというものだ。もちろん、いずれは全道規模での段階的な防災対策を取る必要があると私は考える。決して「札幌だけ」ではないはずだ。
 社説では「道は札幌市を含めて道内の市町村と連携し、全道的な視点で道民の安全を確保できる対策を講じなければならない」とも述べているが、明らかに札幌を起点とした発想、視点と思える表現だ。
 意見を述べるとき、自らの立場を主張をするか全体を見るかで、その主張の内容は大きく変わる。

 以上は数日前の下書き、7日道議会民主党がエネルギー政策に関する見解を発表した。その中に「再稼働に際して後志管内市町村と札幌市の合意が必要」との項目が列記されている。全道人口の1/3を占める札幌を無視できないとの気持ちなのだろうか。それなら石狩市、千歳市、恵庭市、伊達市・・・放射性物質の拡散は同心円状ではないのだ。国はEPZの拡大を検討しているという。民主党得意の大衆受けをねらった主張としか思えない。
 
 10日の北海道新聞「記者の視点」でもその後追いと言える主張が見られる。論点・主張とも社説とほぼ同じ。札幌のみを参加させるべきとの根拠が、私は分からない。