野田総理は、10日群馬県の農業生産法人を視察した際のインタビューで、農業再生に向けた行動計画を月内にまとめると発言したとの報道。この発言はTPP交渉に入ることを前提とした発言なのではないだろうか。野田総理の視察した農家は高級米を生産し、農協に頼らない独自販売ルートを持つ農業生産法人だが、日本全体の農業を考えたとき、全てがそのような農家で成り立つはずはない。また、政府の「食と農林漁業の再生実現会議」が8月にまとめた中間提言は、水田を中心とした農業の経営規模を、いまの10倍程度の20~30ヘクタールに拡大することなどが柱だ(朝日新聞)とのことだが、そんな程度の規模で米国や豪州と対等に戦えるとは思えない。民主党の掲げる食料自給率50%(10年後)の目標とどう整合性をとるのか。
また、ここでも「TPPは農業対輸出産業」の構図を作っているが、TPPは24項目があり知的財産、労働力、金融などが含まれている。さらに、米国、豪州、新国以外はすでに日本とEPAを締結しているのだ。参加国のGDPを比較しても日米でその9割を占める。つまり、TPPは日米間二国の問題をその他8カ国の調整で進めることになる。つまり、TPP参加は多数決で押しやられることが明白な枠組みにあえて入ることなのだ。