27日、静内の北海道市場では、今年最後のサラブレッド1歳馬の市場が終了し、平均価格は昨年よりも27万円減、総額で1億3500万円の減額、売却率はほぼ横ばいとなった。数字だけをみると「まずまず」との評価をするかもしれないが、現場では売却価格の安さと、まるでたたき売りのような市場に諦めともとれる雰囲気が蔓延している。競馬の不振や馬主不足の影響は、地方競馬のみならず中央競馬にもみられるようで、そのことが市場の不振にダイレクトに反映しているのだろう。
 馬産地全体をみると格差が広がり、大手グループが中心となるセレクトセールでは盛況な市場成績を残しているものの、日高での市場のみを見た場合は悲惨な結果となっている。日本における若馬の売買は生産者と馬主が直接交渉する「庭先売買」が主流となってきたが、近年は市場売買が徐々に台頭しており、市場改革が急がれるものの新規購買者の誘客も伸びず、日高の市場は低迷を続けている。サラブレッド1歳市場は、先の「セレクトセール」の他に、新ひだか町で行われる「セレクション」「サマー」そして今回の「オータム」と4回の市場がある。9月に行われた一年でもっとも規模の大きなサマーセールは千頭を超える上場馬があり、メインの市場とされている。その市場でさえ、種付け料を下回る売却が散見されたことから、今回のオータムでも厳しい状況が予想され、残念ならがその通りの結果となった。欧米諸国をみても原価を下回る安馬もいるが、一方で高額な売買が行われていることで馬産全体として成り立っている。日本の馬産をトータルで考えたとき同じような状況があるのだろうけれど、内訳はいわゆる勝ち組・負け組に分かれ、富も勝ち組に集中してしまっていることが、今後の馬産地の健全な成長に大きな問題を残すことが予想される。特に馬産が基幹産業となっている日高において、その浮沈が地域の経済に多大な影響を与える。
 
 しかし、悲観論ばかりでは何も解決しない。少し見方を変えると、不景気にも関わらず一定の需要は保っているという見方も間違いではない。問題は価格である。厳しい競馬経営の為に償金や手当のカットが行われている中で、若馬の取得価格を抑えようとする行動は当然といえる。そこで、その低価格傾向に見合った種付け料の値下げがなされるのかが今後注目される。市場売買に連動した種付け料となるのなら日高の馬産はまだまだ続けられると私は考えている。さらに、注目することは市場最終日にバスを仕立ててやってきた中国人オーナーがいたが、今後の中国人購買者の動向だ。昨年も見学に訪れた中国人オーナーが衝動的に十数頭の1歳を購買をし話題となったが、今年は別の中国人が10頭を購買した。売却価格は100万円から250万円と決して高くはないが、今後多くの中国人購買者がやってくることで、市場が活気づくことは間違いないことであり、売却された日本産馬の活躍と購買者の誘客に期待を寄せたい。

(雨に見舞われた、セリの日々)