自民党道連政経セミナーが29日、札幌で開かれ、自民党前政調会長石破茂衆議を講師に時局講演をいただいた。
講演内容を引用して紹介する。「国民は民主党がダメなことは分かったが、だから自民党とはなっていない。何がダメだったのか?総理がころころ変わったこともひとつの要因。例えば9ヶ月間で4人の防衛大臣が代わった。農水大臣は1年半で6人。防衛や農業が国家にとって重要な課題ならこれではだめ。国際交渉力の無さも大臣がころころ変わることが原因のひとつだ。例えば農業分野の国際会議でも、国の経済力ではなく、長年大臣を勤める国がイニシアティヴをとることがよくある。どんなによい話をしても、来年は別な大臣が出席すると思われ、その事が信頼関係構築に悪影響を与えている。
3.11大震災の時、国家非常事態宣言をして、緊急対策をとらなかった。しかし憲法でこの条項が無いのだ。さらに世界中でこの国家非常事態の条項が無いのは日本だけ。
また、憲法には「自衛隊」という言葉はどこにもない、国家の独立を守るのが軍隊。軍人には最高の勲章が与えられる。なぜなら軍人は国のために命をかけた戦いをするからである。自分の国は自分で守るのは当たり前のことだ。自民党は結党以来、党の方針として「自主憲法制定」、「自助・供助・公序の国づくり」を目指している。ところが民主党には、党の綱領が無い。何をしたくてひとつの党にまとまっているのか分からない政党なのだ。
議員初議で復興庁を作って、一つの役所で迅速に震災復興を行おうと提案したが、民主党が反対しダメだった。
尖閣事件の時、検察が勝手に被疑者を釈放、帰国させたことになっているが、そんなことは絶対にありえない。菅首相(当時)は責任をとらない。民主党の体質そのものなのだ。『あらゆる称賛は現場に、全ての責任は指揮官に』の精神がないから、役人がついてこないのだ。
今、この国の産業のあり方すべて見直さなければならない。産業政策のどこかに間違いがある。産業が海外に出て行ける形を作ることも必要だ。
さらに、国家のあり方を根本から見直す時期だなのだ。政治家は勇気と真心をもって真実を話すことが大切だ。時には批判を受けるかもしれないが、選挙のために言いたいことも言えない者は政治家ではない。今、野にある間に真実を語ることのできる自民党にならなければならない。」
講演は、主張が明瞭で分かりやすく大変素晴らしかったが、石破氏はTPP交渉参加に必ずしも反対ではない含みを持った言い方だと私は感じた。この点だけは唯一、首を傾げざるを得なかった。
「なぜ米国主導のTPPの枠組でなければならないのか?」そう聞いてみたかった…