8日の朝日新聞社説は完全に「TPP交渉参加ありき」だが、その主張は全く苦しい矛盾だらけの内容だと私は感じた。以下要約すると・・・
「TPPには、まず交渉に参加して戦略を立てるべきだ。日本は自由貿易で経済成長してきたのであり、(f)自由化を加速させ国内の雇用にもつなげるべきだ。昨年のAPECでアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の道筋のひとつにTPPが位置づけられている。反対派は「なぜTPPか」というが、(a)二国間のEPAでは、例外が多く自由化のメリットは少なかった。また、中韓との交渉にも波及するのだから、TPPをてこにEPA網を広げるという戦略性が必要だ。
国内産業が壊されるというが、農業は戸別所得補償のようなばらまきは見直すべきであり、それは(c)TPPがなくとも取り組むべき問題だ。そして「何が消費者の利益になるか」を考え、(d)安心・安全を守るため必要な規制を維持するのは当然であり、真に必要な規制を見つめ直すべきだ。
米国がそうであるように、(b)日本も激変緩和のための例外措置を確保できる余地はある。新たなルールに(e)日本の主張を反映するために、主体的にTPPに関わるべきだ。」
(反論)
(1)(a)と(b)は明らかな食い違い、矛盾です。
(2)(c)は本題とは別問題であり、むしろ反対派が主張していること。本質的な農業問題を議論するべき時期であるが、TPPと関連づけるべきではない。
(3)(d)安全を求めるからこそ、TPPに反対しているのであって、例えば遺伝子組み換え表示義務が米国の要求で撤廃される危険があること、また、BSEの輸入規制緩和も要求されている。
(4)(e)交渉参加には米国議会の承認が必要となり、手続き等を考えると半年近くが必要となることから、すでに手遅れとの情報がある。