新聞社が時の政権や地方政治に対して意見を述べることは悪いことではない。政治はそれに耳を傾けるべきである。しかし、それが誤った認識やおごり、偏見に充ちているのなら、黙ってはいられない。
11月27日の北海道新聞では、高橋はるみ北海道知事の原発をめぐる姿勢に、まるで他人ごとのようだと厳しく批判している。私は決して知事をかばうつもりではないが、議会を含めて活発な議論を通して原発問題に真剣に取り組んでいる実態を理解して欲しいと思うのだ。
道新は「安全神話が壊れた」と言い切り「安全性の確保はどう達成する」と詰め寄るのなら、なぜ「今すぐに稼働中の原発を止めるべきだ」と主張しないのだろう。その矛盾を解決しない限り、どんな主張をしても無責任だと思えてしまう。
批判の内容は、
①原発の安全神話が崩れた中で、安全性の確保をどう達成するのかを明確にしていない。また、ストレステストで安全が約束できるとは限らないとの説があるが、再稼働問題をどうするか明らかにしていない。
(反論)知事は議会答弁で(a)ストレステストで安全性が理解に至る、(b)福島原発の地震による影響、(c)浜岡原発の停止と泊原発の違いについての説明、の3点を国が説明し納得してから判断するとしている。
③やらせが発覚したプルサーマル計画をどうするのか。人ごとのような発言で、経産省の方針をフォローするだけなら国策の代弁者にすぎない。
(反論)知事は議会答弁で、福島原発のプルサーマルの影響が明らかになるまでは、この計画を進めることはしないと明言している。やらせ問題に関しては、現在進行中。今議会にて徹底した議論が行われる予定。
④地方から政策転換を迫る。リーダーの気概とはそういうものだ。「脱原発」を見据えて「北海道エネルギー環境会議」を知事の指導力で実現を期待する。
(反論)知事は国への追随一辺倒だというのは言いがかりではないだろうか。TPP問題では、国に対して断固として反対を訴えている。原発問題においては、道新の主張のように「脱原発」ありきではなく、現実的な電力確保も考慮した判断を行っていると私は感じる。議会での私の質問で「本当に危険なら、稼働中の原発も即刻停止しなければならない。しかし、多くの道民はそれまで求めていないのだから、再稼働は検査終了後粛々と実施するべきだ」と訴えたにも関わらず、道は道民世論や道民の不安を考え、道民の納得が得られるよう慎重に判断するとしているのだ。
繰り返すが、道新には、稼働中の原発を容認しつつ、再稼働を問題視する矛盾を明確にして欲しいと私は考える。批判をするのはそれからではないだろうか。