「隣り合う豊かさと貧困」、北海道新聞がインドの経済成長と格差の現状を取り上げた記事のタイトルだ。そこに見られる表現は「活気に包まれて・・」「まるで高度成長期の日本・・」「○○の発言は自信に満ちていた」「印象的だったのは働く若者たちの目の輝きだ」「みんなが将来に明るい希望を持っている」等。
私が2年前にインドを訪れたときと全く同じ印象だ。私は同時期に中国上海も訪れたが、同じように街ゆく人々の活気と成長の流れに乗り遅れまいとするパワーに圧倒されたことを思い出す。先頃TPP参加を巡って野田首相が「アジアの成長を取り込む」と発言したが、今の日本に欠けているものが正しくこの点なのだと実感している。
記事はその成長と共に我々の常識を遙かに超える格差が存在しているというが、将来に希望が持てる発展途上国での格差と閉塞感蔓延する日本の格差を比較すると、格差の幅は小さくても我が国のそれには遙かに大きな不満が内包されているというのが現実である。
「いつかは・・クラウン」そのテレビコマーシャルを覚えているだろうか。誰もが夢を持ち、将来に希望が持てる、そんな日本があったのだ。その時代には、公務員の待遇がどうだとか、様々な無駄を卑しめる発言はあまり聞いたことはなかった。足下を見て無駄を無くし他人を批判することよりも、先を見て発展するための発想しかなかった様な気がする。今の時代その発想を少しは思い出しても良いのではないだろうかと私は思っている。