春の便りとともに、花粉症の季節がやってきた。最近はこの花粉のせいで、春はありがたくない季節と感じる人も多いと聞く。私の牧場を訪ねた学生は鼻水が止まらなくなっていたが、これまでも馬の毛や牧草にアレル元を持つ若者が多く、最近の傾向なのだろうかと考えていた。そういえば最近大臣になった方も、牧場に来る度に目を真っ赤に腫らしていたことを思い出す。
アレルギーのひとつとして、子供達のアトピーの増加も社会問題となっているが、これは日本人の体内に寄生虫がいなくなったことも要因のひとつだと言う話を聞いたことがある。生物は病原菌などの外敵に対して闘うことで抗体を身につけるが、その機会が減ることで抵抗力が弱っているというのだ。例えば、牧場でも常により良好な衛生状態を求めようとするが、完全な無菌状態はなし得ないし、完璧な成果も得られるわけではない。逆に新たな病気まで呼び込むこともあり、ひ弱な馬に育つという見解もあながち的外れとも言えなくもない。結局は完璧をもとめたところでそれは非現実的なことだと現場では納得せざるを得ない。
被災地のがれき受け入れを巡って、北海道でも大きな話題となろうとしている。ある首長は早い時期に受け入れを表明したところ、900件を超える抗議の電話やメールが寄せられたと言っていた。その首長は「安全を確認したものに限って受け入れる」としているのにもかかわらず、反対派はその安全基準の是非ではなく「放射性物質がゼロでなければならない」と言わんばかりの主張のなのだ。このことは、無菌状態でなければ安心できないという非現実的な認識と同じではないだろうか。将来にわたって放射線の子供に与える影響は分からない。しかし、これまでもそして今も、自然界にはがれきと同じように許される範囲の放射線は存在しているのだ。
被災地のために、私達ができることは何かを、今一度考えてみたい。必要のないアレルギー反応は止めて・・・