橋下大阪市長が関西電力大飯原発の再稼働を容認する発言をしたが、全く都合がいい発言だと感じた。今回の容認はあくまでも暫定的なものと言っているが、安全神話が崩れた今、完璧な安全など存在せず、結局はどのレベルで安全と判断するのかが焦点であるはずだった。つまりその時点ではベストの安全基準かもしれないが、結局それは暫定的な基準でしかないのだ。
 市長は国の安全基準策定経緯や関電の電力需要予測などを強烈に批判し、再稼働を認めない発言をしていた。そのときは安全が最優先で、電力不足が再稼働容認の理由にはならない旨の考えを披露していたはずだ。国の基準に何か変化があったのならまだしも、批判していた時点の内容と今は何も変わっていない。
 今回容認に転じたのは、明らかに電力不足を回避する意味に他ならない。あの威勢の良い「節電で乗りきろう」との考えはどこへいったのだろう。また、滋賀県嘉田知事も国の安全性にあれほど不信感を表していながら、明確に経済界の要求に「限定的」との言葉で本人の判断を翻したことになる。

 私はこれまで泊原発の再稼働を容認するべきだと終始主張してきた。それは絶対安全は無いが一定の安全が確保される基準を満たしていると判断しているからだ。しかし、高橋はるみ知事は国への2点の質問に納得のいく回答が無ければ、安全性の議論に入らないと述べている。それは、1,浜岡原発だけを停止した理由、2,福島原発の地震による影響、の2点だが、本当に納得できる回答が寄せられるのか私は心配している。そして、「電力の需給に限らず、安全性を優先する。疑問が解決しなければ再稼働の議論に入らない」と宣言したのだから、北海道は大阪市や滋賀県のようにはならないだろうと私は思っている。