国際間の紛争では、誰が見ても「正解」と言える対応はそうあるものではない。それぞれの国が国益を得るために、したたかに駆け引きをするものだ。
尖閣諸島の領有権をめぐる日中の争いで、ある紙面に気になる意見があった。
その内容は、
1、国有化は問題を深刻にした。あえて国有化する必要はなかった。
2、中国に反発した防衛強化の傾向は問題をこじらせる
3、政府は領土問題の存在を認め、冷静な外交交渉を行うべきだ。
いろいろな意見があって構わないが、私は日本国内でこのような意見が出ることは、中国にとって一歩前進したと捉える。そもそも棚上げ状態でことが収まる状況だったかと言いたい。中国漁船による海保船体当たり、魚釣島への強硬上陸、中国監視船の領海侵犯などをみても、我が国の従来の守りでは不十分なことは誰もが感じたこと。だからこそ、適切な法や防衛力の整備は当然の備えといえるものだ。そして「領土問題の存在」を国際社会に認めさせることこそが、中国にとって新たな国益を得るための第一歩と考えていることを忘れてはならない。
藤沢すみお