自民党道連による「TPPに関する状況説明会並びに懇談会」が6日旭川と岩見沢で実施され、今月中に全道選挙区において開催の予定だ。新聞報道では農業団体などから「公約違反」・「裏切り」や「参議院で支持できない」との厳しい意見が述べられ、自民党議員は「責任を感じる」など苦しい説明に追われたと紹介されている。
 私は現地に赴いてそれを傍聴したが少し違った印象を受けた。意見を述べた人々はあらかじめ決めていたのだろう各団体の代表者であり厳しい内容に変わりはないが、決して返答に困るような乱暴な発言はなかった。また、説明議員はTPP交渉参加に対して反対の立場をとる議員ばかりで、政府に対して「今後、6項目を堅持するよう監視する」また「断固反対は変わらない」、「まずは関税で守る」というような説明で反対を訴える参加者と同じ意識であり、「結果で判断願いたい」と言われると、それをお願いするしかないという構図となっていた。しかし、参加者にとってTPP参加や将来の営農への不安が解消されたわけではなく、疑心暗鬼が残されたままという感じの説明会に終わった。

 「若者が将来に向けて安心して農業が営めるのか?」という問いに対して、「安倍総理は農業を守ると堅く約束してくれた」というが、具体的な内容は何一つ明らかになっていない。そして、堅持するという6項目の文言は曖昧であり、事実上要求が通らなくとも「約束は守られた」と言い逃れることは難しくはないと私は考える。今後の説明会では、この点に関して具体的な「言質」を取る質問が必要ではないかと感じている。

公約に記された6項目
1,農林水産品における関税
 米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生可能となるよう除外又は再協議の対象となること。
(具体的に再生可能な農業とは何を指すのか?現在の経営形態が維持できる保証はない)

2,自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等
 自動車における排ガス規制、安全基準認証、税制、軽自動車優遇等の我が国固有の安全基準、環境基準等を損なわないこと及び自由貿易の理念に反する工業製品の数値目標は受け入れないこと。
(何をもって損なうのか?また、自由貿易の理念が何かで結果は変わる)

3,国民皆保険、公的薬価制度
 公的な医療給付範囲を維持すること。医療機関経営への営利企業参入、混合診療の全面解禁を許さないこと。公的薬価算定の仕組みを改悪しないこと。
(一部解禁は可能とも読み取ることができる。また、「改悪」は見方によって変わりうる)

4,食の安全安心の基準
 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品の表示義務、輸入原材料の原産地表示、BSE基準等において、食の安全安心が損なわれないこと。
( BSEのように、安心安全が損なわれないとの理由から、他国の基準に合わせることもあり得る)

5,ISD条項
 国の主権を損なうようなISD条項は合意しないこと。
(絶対に合意しないとはいえない)

6,政府調達・金融サービス業
 政府調達及び、かんぽ、郵貯、共済等の金融サービス等のあり方については我が国の特性を踏まえること。
(我が国の特性を踏まえるが、他国の参入は規制するとは言えない?)

さらに、医薬品の特許権、著作権等、事務所開設規制、資格相互承認等、漁業補償等、メディア、公営企業等と民間企業との競争条件などについても党内議論があります。