平成17年度ホッカイドウ競馬の開催も11月10日をもって、87日間の開催が終了した。売り上げは昨年度を1.4%上回る114億6,700万円。これは、3年連続で前年度を上回る成績を残したことになる。中央競馬を含めて、近年でこのように売り上げを伸ばしている主催者は他にはない。この点は大いに関係者に対して敬意をはらいたいと思う。
11月11日の新聞発表で、ホッカイドウ競馬の日程が終了したことを受け、高橋北海道知事は建議の尊重、すなわち存続を前提とした考えをにおわせた。もちろん存続を明言した訳ではないが、厳しい条件ながらも継続の道を選択するだろうことが伺える。ここで最も重要なポイントは、存続には建議でいう「高いハードル」をもうけるとすることの意味である。私は少なくとも一桁の赤字で、しかも限りなくそれが減少する流れになること、さらに赤字補填は一定額を上限として、それ以上は行えないとの覚悟が必要だと考える。
次にその改革には、どのような方法が考えられるか。まず、運営体制の一新。現在の競馬事務所が主幹となり、北海道競馬振興公社への委託で運営を行っているが、これを民間の手法が取り入れられやすいように、さまざまな部署を民間委託することにある。その流れの中で、日高の関係する町が企画運営に参画する為、公益法人を立ち上げることもひとつの選択肢である。考え方は売り上げ110億円内で行える経営を実施すること。現在の経営は、収支を無視したもので、これでは経営は成り立たない。あらゆる部門の経費をもう一度洗い直す必要がある。償金も決して例外ではない。
確かに、これ以上償金や手当を減額すると、馬が集まらないとの意見があることも承知している。しかし、赤字をしてまでもそれが認められる訳がない。それではどうするのか。答えはアメリカの競馬にあった。競走馬を所有することに加えて、現役馬の転売が積極的に行える環境を作ることにある。つまり償金で馬代金や経費を賄うのではなく、期間は限定されるが株と同じように流動的な資産としての位置づけになること、そうなると必ずしも償金や手当が充分になくとも競走馬を維持することができる。その為にも、クレーミングレースの導入を考えるべきだと私は以前から訴えている。
さらに馬主の資格要件を緩和し、中央・地方の馬主の差をなくすことが必要である。現在の馬主審査を見ると、典型的なお役所の行う資格審査で、何かあった時に責任が主催者に及ばない為のもの、排除ありきの制度に思えてならない。これまでの一般ファン層が、グループを組んででも気軽に馬主になれる方法を考えるべきである。さらに、安い馬で、安い預託料の地方競馬で能力を試し、力のある馬はどんどん出世し、メジャー競馬場へと転厩する。そんな流れを作るべきだ。場合によっては、取得した値段の数十倍で転売することも夢ではない。このように日本の競馬が開放に向かうよう、ホッカイドウ競馬が先駆者として、新たな挑戦の道を進むべきだと私は考える。
もちろん、売り上げを伸ばす努力も忘れてはいない。現在の中央・地方の枠組みがあるうちは、平日の競馬を選択せざるを得ないが、平日の競馬ではナイターを行えるかどうかが、生命線となる。かつてパチンコ屋で馬券を売ることを提案した時には一笑に付され、悔しい思いをしたことがある。今では、ミニ場外の手法を執ることで、馬券売り場の新設がかなり容易になった。次なる展開は、ミニ場外に飲食を伴う施設を設置すること。つまり、お酒や食事をとりながら競馬を楽しむ。ミニ場外のスポーツバー構想である。儲けにならないと分かっていても、ゲームセンターにあれだけお客が入っていることを考えると、ススキノに是非とも「ホッカイドウ競馬スポーツバー」を開設したいと思う。
さらに、スポンサー制度の活用や競馬場間の馬と人の交流を開放する必要がある。現在は各競馬場単位で馬主、調教師、騎手などが限定されているが、この根底には、外部から自分たちの利権が侵されることを警戒してのものに他ならない。つまりどの競馬場も、自ら交流を避けていて、それが理由で、限られた競走馬だけのつまらない競馬を行っているということなのだ。
競馬が特別な人たちだけのものではなく、広く多くのファンが気軽に参入できるようなものにするべきだ。その為には、生産者も含めて、すべての関係者が自らの立場を守るのではなく、日本の競馬全体のことを考えられるかではないだろうか。
私は、これからもホッカイドウ競馬の経営改善の為に全力を尽くして参ります。ご意見をお寄せください。