町村合併・道州制・支庁制度改革・三位一体改革

先頃、日高管内では静内町・三石町・日高町でそれぞれ合併に対する住民投票が実施され、賛成多数と参考に足る投票数を獲得したことから、予定通りの合併が進むものと思われます。さて、そもそもこの「平成の大合併」と言われる流れは、どのような理由から始まったのでしょうか。

国は国民から税金を徴収し、その税金を使って国民の生活のためにさまざまな政策を実行します。しかしながら、全国一律のルールに則ると、それぞれの地方において、事情の違いから不具合が生じることがあります。ある程度成熟した社会になると、地方でできることはそれぞれの地方で決めるほうが、より地域のためになるとの考え方が支持されるようになりました。これを分権型社会といいます。(最近は地方主権といった言い方をする人もいます)

(三位一体改革)

一時期、マスコミに良く登場したこの「三位一体改革」とは、その税金の徴収の仕方と、再配分のしかたのことです。そもそも税金には国税と地方税があります。道や市町村の地方自治体は、国税の中から地方交付税交付金と国庫補助負担金(補助金)の形で再配分された税金を、自前の地方税と併せてその地域のために使うことができます。「三位一体改革」は、これまで国税として国に納めていた一部分を直接地方に納め、国からの補助金をあわせて減らすというものです。地方自治体にとっては、総額において概ね変わらず、自らの判断で政策を決定できるということに一応?なっています。

(道州制)

道州制とは、国が行うことを主に外交と安全保障、そして司法などに限定し、
そのほかの権限を道・州に移行するものです。そのモデルケースとして、現在の自治地域をそのまま使えることから、北海道が特区として試験的に実施しようとしています。よく「道州制になると、何が変わるのか」と聞かれるのですが、一般の市民生活には目に見えた違いはないと思ってかまわないと思います。さまざまな許認可や手続きがその地方に会わせて行えること、そして何よりも国依存体質からの脱却をするべきだと考えますが、これまで長年の官主導・首都圏の支店企業がリーダーとなる本道経済にあっては、その道も険しいものがあるかもしれません。現在も道と国の出先機関との役割分担や融合に関しての調整が必要とされていますが、道にその調整役を丸投げされた状態では、思うように進んでいないのが実情です。

(権限移譲)

道州制に伴って、国からの権限が道・州へと移譲されるに伴い、これまで道
が担っていた権限の市町村への移譲も進められます。本来の考え方は、地方からの意見により、道から自治体への権限移譲が行われるべきところ(つまりボトムアップというやつ)です。しかし現状は今の自治体規模での権限移譲は、むしろ押しつけと考えている自治体が多いのではないでしょうか。

(町村合併)

町村合併の流れも、この権限移譲のもと、地域のことは地域で決める地方主権を目指すためのものといえます。これまでの小規模な自治体が個別に行うには余りにも負担が大きくなることが予想されるからなのです。今回の合併特例法による駆け込みは、交付税や特例債のためのように思われがちですが、いずれ合併の必要性が生まれるのなら、このような特典が付くこの機会に行おうとの考えです。決して間違った方法とは思いません。ただ、何が何でも合併が条件ではありません。この権限移譲に関しては、広域連合・連合自治体の形でも受け入れることができるので、その地域の総意で合併の是非を決めるべきだと考えます。

(支庁制度改革)

昨年暮れに支庁制度改革のニュースが、新聞に取り上げられ、事実上支庁が移転するであろう市・町は大騒ぎをした経緯があります。全道を地域生活経済圏の6カ所に支庁の統廃合を行うとの報道は確かにショッキングでした。日高管内浦河町から支庁がなくなるのかと、多くの人々に心配をおかけしております。

まず、道州制や権限移譲、そして町村合併の流れを説明しましたが、支庁制度改革もこの流れの一環としての準備が進められているのです。仮に道州制が計画通り実施されたとします。その前提として国の出先機関との調整が進み、権限移譲が国から道へ、そして道から市町村へ進められます。そうなると道の出先機関である支庁の役割は、現在と比べてかなり限定的なものとなることが想像できると思います。支庁の権限を段階的に縮小し、その間は「地域行政センター」の名の下に補完業務を行い統合へ向かうとの考えです。現在道の行っている権限の約半分が市町村に移ることで、その為に町村合併や広域連合が進み、例えば日高が、3カ所程度の新しい基礎自治体に修練され、現在の道の業務の約半分をその自治体で処理することが可能になるとしたら、その時は支庁の存在も必要とはしなくなるだろうということなのです。

道州制を進める過程で、一つの例として北海道開発局の存続問題が取り上げられています。開発局の論理だと、一方的に開発局の仕事をすべて北海道が引き継ぐのではなく、国と道の仕事を合体させ、その時点で両組織が同程度の人員を削減するべきだとのこと、彼らにしてみればもっともな話です。つまり権限移譲に伴いある程度の人と財源も同時に移譲されると考えてください。道の権限移譲に置き換えると、支庁がそっくりなくなるのではなく、道や支庁の権限の移譲と共に人と財源も移譲する、つまり今ある支庁が地元の機関となると考える事もできるのです。もちろん行財政改革の中で、役所の人員体制は今以上にスリム化をしなければなりませんが、一方で権限移譲にまつわる人材の確保も必要となります。つまり、権限移譲の流れに沿って支庁制度改革が行われることは、現支庁がただ単になくなるのではなく、その人材を権限と財源ともに各町へ移譲することだと考えてください。そう考えるとご理解を頂けるのではないかと思うのです。

現在道州制、町村合併そして権限移譲といった新たな制度改革が考えられつつも、現実にはなかなか計画通りには進んでいないのが実情です。いきなり浦河町から支庁がなくなることはあり得ません。まだまだ時間が掛かりますし、それまでには、地域との話し合いやコンセンサスを十分に図りますので、ご安心ください。