北海道新聞では、現在4回シリーズで「道議の実像」として、アンケート結果を公開しています。その前段として道民に対しての世論調査の結果も公開しましたが、私はその質問内容等に疑問があることから、メールでの質問を送りました。3日後、電話で回答が寄せられましたので、ご紹介と合わせて私の意見も述べたいと思いますが、質問に対する道新の回答姿勢は評価します。
調査項目は13問、議会だけではなく医療、TPP、内閣支持に関してです。
おそらく、道議会同様、後に特集を組むためのものかもしれませんが、テーマが分散し余りにも大雑把すぎると感じました。
以下、詳しい説明と私の意見
道議会に関しては4問
1、定数に関して
結果として63%のひとが減らすべきとの回答でした。昨今の議会に対する厳しい見方ともとれますが、何を根拠に、どれ程の議員数が適正かとの議論がない中での削減の声の誇張は、議会の役割を益々軽視する流れになるような気がします。議員一人一人の仕事ぶりが見えにくいのかもしれませんが、実際は地域の声を反映さ、議会として首長や職員のチェック機能などを果たしていると私は考えます。
ただし、町村など人口の少ないところほど、削減に賛成が多いとの結果は、詳しいデータが公開されないので、なんとも言えません。今後別な調査も見たいと考えます。
2、議員報酬について
1〜2割り減らすべき、大幅に減らすべきを合わせて82%に達しています。月額90万円というと高額だと思われるのでしょうが、私は手取りで43万円ほど、そこから生活費、秘書給与の一部、事務所費の一部、そして首長と違って退職金も無し、当然足りるはずないのが現状です。「好きでやっているのだから」との声も聞こえそうですが、議員が特定の人に偏らないために、そして多くの人に議員になれる機会を与えるためには、それなりの報酬は必要だと私は考えます。質問には、議員の費用実態の言及もなく、表面的な批判のように思います。
3、海外調査費(視察と表現)、100万円の旅費についてどう思うか?
実際は90万に削減し、意欲のある議員が活用しているにも関わらず、海外が“贅沢”との発想は時代錯誤ではないかと考えます。委員会での道内外調査や本年度カナダアルバータ州との周年記念派遣よりも、私の実施したインド、シンガポール、中国の調査ははるかに内容のあるもので、成果も徐々に現れ出していると自負しています。
私は海外調査も議員の調査研究費の一部との認識です。別枠で予算を設ける必要がないというのなら、政務調査費に組み込むのもひとつの考えでしょう。また総額が高いと言うのなら、実態に合わせて見直すことも必要かもしれませんが、海外だからと目くじらをたてること自体がおかしな話だと思います。議員の調査や研修を否定することは、議会のレベルアップを求めないことと同じではないでしょうか。「特権で議員が海外旅行している」との評価には断固異論を唱えます。
4、費用弁償について
回答は、増やす、現状維持、減らす、わからない、の他に「報酬の二重取りだから、無くすべき」との選択肢がありましたが、この選択肢によって「二重取り」との概念を植え付けることにならないでしょうか?現に64%が廃止の意見。明かに作為的なものを感じます。議員は退職金がないことからも分かるように、非常勤の扱いとされているのです。だから二重取りには当てはまらないと私は考えます。
まとめ
世論調査もその聞き方とまとめ方で、結果の印象がずいぶん違うという事が分かります。マスコミの議会に対する厳しい指摘は結構ですが、言われっぱなしではなく、言うべき事はしっかりと反論したいと思います。
更に、特集「道議の実像」について
* 費用弁償に関しては、道議会議員の76%が現状維持を求めるなか、道民世論調査の「64%が無くすべきだ」を引き合いにして、批判する手法は感心しません。
*海外調査に関しても“視察”と表現していること、更に「特権として批判を浴びた制度」と前置きしていること。
質問では「100万円までの旅費が認められています。この金額についてどう思いますか。」と聞き、回答の選択肢として、増やす(2%)、維持(21%)、減らす(42%)、廃止(32%)となっていますが、いきなり「100万円の旅費は?」と聞かれれば、多すぎると感じるのが常識的。むしろ廃止は3割、多く(65%)は「見直しは必要だが制度そのものはあってもよい」と決して否定的ではないと解釈はできないだろうか。ところが紙上では「廃止・減額を求める声は7割を越え、意識の差を指摘」との表現となっています。
*議員定数に関しては、政令市札幌の問題を取り上げ、全道的なバランスの問題に焦点を当てていますが、根本となる人口何万人にひとりの議員が必要なのかには触れていません。
*開かれた議会の質問では、報告会の開催を考える議員が26%と目立つ他、「その他」が45%。私見として、議会空転の要因と現状が議員でも不透明であることから、改革をしなければならないと感じています。また委員会協議会等、議員間の議論の場も必要ではないかと考えます。
*議員報酬と政務調査費に関して、議員意見の紹介のみで、新聞社としての意見は見られない。先の世論調査とのギャップに関して、踏み込んだ見解がないのが残念。
*自己評価(議会の役割)
議員の7割が議会の役割を果たしていると評価したのは当然ですが、むしろ15%が果たしていないとしたことの方が問題かもしれない。課題があることを念頭にそう表現したのかもしれないが、自らの存在を否定するなら、自ら身を退くべきだと考えます。
*答弁調整
私は答弁調整の一定の効果は認めつつも、改革は必要と考えます。私も実際に改革に挑戦していますが、胸を張れるまでにはなっていません。
一方で、答弁調整に疑問を投げ掛ける道新でも“台本”である答弁書を当たり前にコピーしている現実をどう答えるのでしょう。私はアンケートでも問題提起をしましたが、その回答はありません。
最後に、これらのアンケートを、次期選挙で議員および候補者の意見をそのまま掲載し、有権者の判断材料にするべきだと考えます。
北海道議会議員 藤沢澄雄